「排卵誘発剤を使うと、卵がたくさんできるから、双子の確率が上がるよ」。これはよく聞くし、納得もしやすい話。でも、一つしか胚を戻さない体外受精ではどうなんでしょう?

そもそも双子って?

「双胎(そうたい)」というのが医学的な正しい名前ですね。「又」の字が二つきれいに並んで、たしかに双子ちゃんみたい・・・!ちなみに三つ子のことは「品胎(ひんたい)」といいます。「口」の字が三つ!さらに、四つ子は「要胎(ようたい)」、五つ子は「周胎(しゅうたい)」というらしいです。日本でも、双子が毎年10万人くらいは生まれているのに対して、三つ子以上は合わせても数千人ですから、今回は双子に絞ってお話しします。

遺伝子的な違いとして、ひとつの受精卵が途中で分割されてそれぞれふたりになる「一卵性双胎」と、そもそもふたつの受精卵が同時に育った「二卵性双胎」があります。一卵性の双子はソックリで、性別も同じだけど、二卵性の双子は別に男女だってありうるし、ソックリとも限らないです。だって遺伝子的には兄弟と同じ関係ですから。

ところで、胎児は羊膜という薄い膜につつまれており、さらに胎盤から栄養をもらって生活しています。その胎盤と羊膜の関係の違いから、双子を分類します。二卵性双胎は、絨毛も胎盤も別々にできるので、必ず二絨毛膜二羊膜性双胎になります。一卵性双胎は、胎盤は一緒。羊膜は別々という一絨毛膜二羊膜性双胎と、羊膜まで一緒という一絨毛膜一羊膜性双胎があります。リスクとしては、「同じものを分け合いっこするほど、ハイリスク」です。なんとなく、わかりますよね・・・。喧嘩になりますもんね・・・。つまり、一絨毛膜一羊膜性双胎>一絨毛膜二羊膜性双胎>二絨毛膜二羊膜性双胎の順番に、妊娠中のトラブルは増えてしまいます。どんなトラブルか、代表的なものをあげますね。

双子って何か困るの?

ハイリスク妊娠です!

  • (二卵性も一卵性も)子宮が二人分広がり切れずに早産になりやすい
  • (一卵性の場合のみ)ひとつの胎盤を二人で分け合うが、その分け合い方に不公平がでてしまい、二人の体重に大きな差が出る
  • (さらに一羊膜性の場合のみ)全く同じスペースにいるので、お互いのへその緒が絡んでしまう

そういうわけで、双子はだいたい35週くらいまでの早産になってしまうことがほとんどです。さらに分娩方法も、基本的には帝王切開を勧められることも多いでしょう。そして、切迫早産・早産になりやすいこともありますし、きちんと小児科のある大き目の総合病院での妊婦健診・分娩がおすすめです。

体外受精で双子になる理由は?

2011年頃までは、妊娠率を少しでも上げようと、胚を2つ同時に移植するのが広く行われていた時代がありました。そりゃぁ、2つ胚が入ればどっちか移植する確率だって高いですが、同時に2つとも着床していまう確率も上がります。双子はかわいいけど、妊娠はハイリスクなので、最近は、何度も移植してもなかなか着床しない場合など以外は、基本的にひとつしか胚を移植しないようにと学会が勧告を出しております。

しかし!なんと単一胚移植でも双子は生じるんですね。なんと三つ子までできるというから驚き。初期胚や胚盤胞は細胞がたくさん寄り集まってできたブドウみたいなものですが、それが二つとか三つの小さい房に分かれてしまい、それぞれが胎児になるというのが真相のようです。接合子(せつごうし)の分離といいます。

接合子の分離は、「胚に何か手を加える」ほどに房同士の接着がゆるんで起こりやすくなります。なので、新鮮胚よりは凍結融解胚、初期胚よりは胚盤胞、アシステッドハッチング無しよりは有りのほうが、双子になりやすい傾向があります。でも結局、単一胚移植で双子になる確率は1-2%。自然妊娠の双子もだいたいそれくらいの確率ですから、あまり変わらないようです。

双子になりやすい排卵誘発剤は?

排卵誘発剤の違いで、双子になりやすさとは関係はありません。たくさん卵がとれても、少しでも、双子のなりやすさは一緒。ちなみに、質も一緒。

双子になりやすいのは体外受精?顕微授精?

受精方法の違いで、双子になりやすさとは関係はありません