「将来もし赤ちゃんができたら男の子がいい?女の子がいい?」なんて話、誰でも一度はしたことがあると思います。まあ実際不妊治療始めると、「健康なら性別とかどうでもいい・・・」となるわけですけど、この産み分けというのはわりと皆さん気になる話題らしくて、よーく質問を受けます。男女の産み分けを目的とした生殖医療は違法ですので、人工授精・体外受精での産み分けは技術的に可能ですが、絶対にできません。あくまでタイミング療法や自然妊娠の方たちに向けたお話になります。

ぶっちゃけ、産み分けの成功率は?

まあだいたい6割くらいでしょうか。報告によっては7-8割できるとかいろいろ書いてありますが、眉唾ものですね。そもそも何もしなくても男女比は5:5ですから、希望の性別になる確率は最初から5割あります。6割って結局たったの1割アップですので、「男の子/女の子だったらいいな~」くらいの余裕ある態度で、おまじないだと思って挑んでください。以下の説明は、産み分けで一般的に用いられる理論を使ってはいますが、本当の科学からするとこじつけもあり「トンデモ科学だ」、「インチキだ」、「産み分けができるなんて詐欺と一緒だ」と産婦人科医のなかでもあんまり真面目に議論が進んでいません。でもまぁ面白いし盛り上がる話題なのでたまーに冗談で話したりします。

そもそも、性別が決まるしくみって?

父親の精子によって決まります。人間には、染色体という遺伝情報のつまった、いわば設計図が搭載されています。この染色体、性別も決めておりまして、それを性染色体(せいせんしょくたい)と言います。性染色体にはX染色体とY染色体の2種類あり、X染色体ばかり2本持つと女性、X染色体とY染色体を1本ずつ持つと男性になります。「Y染色体だけってことはないの?」という疑問を持った方、するどい!!でもそれ、無理なんです。私たちは、染色体を半分にわけて、卵子や精子を作ります。それらが出会って一緒にまじりあうことで、新たな染色体の組み合わせを持った子が生まれるわけです。性染色体も半分こですから、お父さんの精子はX染色体かY染色体のどちらかの精子ができますね。でもお母さんの卵子は、もともとX染色体しか持ってないのでX染色体の卵子しかありません。つまり、組み合わせとして、子供はX染色体ばかり2本か、X染色体とY染色体を1本ずつしかありえないというわけです。

wikipediaより。性染色体と性別決定のしくみ

 

でも何事にも例外があります。たとえば、2本しかないはずの性染色体を3本持っているとか、1本しかないとかいう性染色体異常も存在します。そういう場合、生殖器に異常がでたり、染色体の個数が奇数になるせいで卵子や精子の製造がうまくいかなかったりして、正常な生殖能力を持てなくなってしまいます。

X染色体とY染色体の特徴って?

遺伝情報ももちろん違いますが、大きさがまず違います。さて、実際のX染色体とY染色体を電子顕微鏡で見たものがこちら。

電子顕微鏡で見たX染色体(左)とY染色体(右)

実際は白黒でしか映らないのですが、分かりやすくコンピュータで色塗りをしてあります。向かって右の青い方がX染色体、向かって左の黄色い方がY染色体です。初めて見たとき、「えっ!こんなに違うの?!」とびっくりしたことを覚えています。X染色体はY染色体の2-3倍はある大きさです。

精子はX染色体かY染色体のどちらか1つを持っているわけですが、X染色体を載せた精子は大きいX染色体のせいで、重いです。重いので、運動スピードも遅い。でもそのかわり、生物が苦手とする酸性に強くて丈夫です。逆に、軽いY染色体を載せた精子は、軽く、速く、酸性に弱めということになります。この性質を利用して産み分けを行うわけですね。

男の子が欲しいときは?

Y染色体を載せた精子が、X染色体を載せた精子よりもたくさん卵子の近くにいけば、Y染色体の受精確率が上がります。

  • 排卵日に性交渉をして、スピードを活かしてのろまなX染色体を載せた精子よりも一足先に卵子の元へたどり着いて先に受精してしまう。
  • アルカリ性食品を夫婦で多く食べ、体の中をアルカリ性に傾けて、天敵である酸性度を薄める。
  • 膣内にアルカリ性ゼリーを入れて性交渉をし、膣内で死んでしまうY染色体を載せた精子の数を減らす
  • 前戯を念入りに行い、アルカリ性である女性の分泌液を増やし、酸性である膣内のおりものをなるべく流す。
女の子が欲しいときは?

X染色体を載せた精子が、Y染色体を載せた精子よりもたくさん卵子の近くにいけば、X染色体の受精確率が上がります。

  • 排卵日2日前に性交渉をして、速いけど寿命の短めなY染色体を載せた精子よりも長生きしながら排卵を待ち構える。
  • 酸性食品を夫婦で多く食べ、体の中をより酸性に傾けて、酸性に弱いY染色体がより排除されるようにする。
  • 膣内に酸性ゼリーを入れて性交渉をし、膣内で死んでしまうY染色体を載せた精子の数をより増やす。
  • 前戯をさらりと行い、アルカリ性である女性の分泌液があまり出ないようにし、酸性である膣内のおりものをなるべく残す。
アルカリ性食品・酸性食品って?

「すっぱいものが酸性」ではありません

アルカリ性食品は、大豆・野菜・果物・海藻・きのこなどです。なんか体に良さそう~ということで、一昔前は「アルカリ性食品は体にいい」とされたりしましたが、これも今はブームが下火です。毎日の朝ごはんは、ミネストローネと豆乳バナナシェイクなんかいいんじゃないでしょうか?!(冗談です)

酸性食品は、肉・魚・卵・穀物・砂糖・コーヒーなどです。毎日の朝ごはんは、パンにオムレツ、それにミルクコーヒーなんかどうでしょう?!(冗談です)

産み分けのゼリーって?

こちらもあるんですね。奇形や妊娠率にも影響なく安全なものです。でも、産み分けが違法であるのに、これらがあるってことは・・・そう、効果はおまじない程度ですね。男の子用はこちら。

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